【登場人物】
 
達郎(東京でミュージシャンを目指す青年/27歳前後)
里美(田舎に暮らす達郎の恋人/25歳前後)
【あらすじ】
 
ミュージシャンを目指して東京で暮らす達郎と、田舎に残り達郎との遠距離恋愛を続ける里美。ある日里美に呼び出されて帰省した達郎。そこで聞かされたのは、会えない時間に揺れ動いた里美の心情。ふたりはぶつかり合い、だけど理解し合い、そしてひとつの決断を下した。



 








劇中曲
Try
作詞 古賀勝哉 作曲 木藤友則


その少年は僕に小さなメモをくれた
ひらがなで書いた住所 ひらがなで書いた名前
「遠くから来たんだな」
僕はそう彼に言った
 心の深い場所に何かしらの病を
 抱えた子供たちが暮らしているらしい
 
 誰も彼も生まれ生きるうちに
 出口なき混乱を背負ってしまう
 弱い立場にいる人の心の闇を
 照らす光になれるだろうか
 
 
施設に帰るバスが海辺を去る夕暮れ
後部座席の大きなガラスに映った笑顔
口を利けない彼が
何かを語りだす日は
今よりこの世界が少し人間らしく
暮らせるようになっていることを祈るよ

この夏を覚えていられるなら
値打ちある選択を守れるだろう
少数派に属す人の心の闇を
照らす歌が出来るだろうか

誰も彼も生まれ生きるうちに
出口なき混乱を背負ってしまう
寒い迷路にいる人の心の闇を
照らす僕になれるだろうか